猫付きシェアハウス、猫カフェなど、ユニークなアイデアで、猫の里親探し 。飼い主とペットの新しい出会いのカタチ

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子猫や捨て猫など引き取り手のない猫の里親探しなどの活動を行っているNPO法人の東京キャットガーディアン(東京都豊島区、山本葉子代表)は7月から「猫付きシェアハウス」を始めた。シェアハウスを借りると、猫が一匹ついてくるというユニークな取り組みが、話題を呼んでいる。

年間約700頭の猫を譲渡

問い合わせの電話は1日数十本。見学者も頻繁に訪れる。

問い合わせの電話は1日数十本。シェルターには見学者も頻繁に訪れる。

京キャットガーディアンは、猫の殺処分ゼロを目指し、保健所や動物愛護センターなどから猫を引取り、里親募集など飼育を希望する人に譲渡する活動や、捨て猫や保護など地域猫の問題に取り組むNPOだ。

都内(大塚、西国分寺)に「開放型シェルター」と呼ぶ2つの施設があり、現在、約350頭の猫を保護、猫の里親探しなどを行っている。2002年に代表の山本葉子さんが自宅で猫の保護を始めて以来、2013年7月時点の累計で3000頭の猫を譲渡。最近は年約700頭の猫を譲渡し、その数は一カ月約60頭にもなる。

まず始めたのは、猫付きマンション

以前は定期的に譲渡会を開催し、引き取り手を探し、猫を譲渡してきたが、引き取り手のほとんどはすでに住宅を持つ人たちだった。そこで、引き取り手を賃貸住宅の利用層に拡大しようと、2010年から賃貸住宅で、同NPOの猫を借主が預かる形で飼える「猫付きマンション」を始めた。猫付きマンションでは、猫が壁を引っ掻いたりしないよう内装を施したり、猫の扱いに慣れない借主には飼い方をアドバイスするなどきめ細かくフォーローした結果、評判が広がり扱う物件も徐々に増えていった。住宅のオーナー、借主から好評だったものの、借主がもともと飼っていた動物を連れてくる場合などもあり、結果的に必ずしも同NPOの猫を引き取りにつながらないケースも少なくなかったという。

借主が猫の世話をする必要がない「猫付きシェアハウス」

猫を飼うのが始めてという人には、丁寧にアドバイスも行なう。

猫を飼うのが始めてという人には、丁寧にアドバイスも行なう。

眼をつけたのが最近、若者の間で人気のシェアハウス。7月から始めた「猫付きシェアハウス」では、始めから猫を“もれなく”つけることにした。「譲渡」ではなく借主に「預ける」仕組みは、猫付きマンションと同じだが、人の移動が頻繁にあるのがシェアハウスの難点。そこで、住人の間で当面の責任者は決めるものの、エサをあげたり、掃除など実質的には同NPOで行うことにした。

借主はシェルターを見学して好きな猫を選ぶことができるが、猫の所有権は同NPOが持ち、賃貸住宅の借主は「預かるだけ」なので、数年先に引っ越すといったように状況が変わっても、その時点で猫を返せばいいだけ。もし、将来的に借主が猫を飼いたいと思った場合は、条件を満たせば譲渡することも可能という。「シェアハウスでは責任の所在があいまいになりがちなことに加え、住人にとってはエサをあげたり、掃除も負担になる。それならばとこちらで負担することにしました。住人に“飼い方”について簡単に教えますが、基本的にはかわいがるだけでいい。それならで楽しいでしょう」と代表の山本さんは笑う。

動物病院併設。持続可能な運営を実現

大塚駅近くの同NPOの施設。広々としたスペースで、猫は伸び伸び動き回っていた。

大塚駅近くの同NPOの施設。広々としたスペースの中で、猫は自由に動き回っていた。

里親になる条件には、終生愛情と責任を持って飼育し、同NPOの許可なしに他人への再譲渡をしないなどの条件を課すとともに、猫への虐待などを防ぐため必ず面接を行う。一方、2カ所の施設で保護している猫は350匹、そして世話をするスタッフは常勤7名の他、約300名のボランティアたち。施設内は24時間空調をきかせ、エサ代もかかる。そして、今回、始める「シェアハウス」では、猫の世話なども負担することになるが、かかる費用負担はどうしているのか。それを補うのはきちんと収益を上げる仕組みだ。

引き取り手猫を引き取る際に、「譲渡金」を同NPOに支払う必要がある。「譲渡する猫は、すべて避妊去勢手術や感染症など治療済みで、費用がかかっています。ペットショップで動物を買うのとまったく同じです」と山本さんは言う。実は同NPO自身で、野良猫や外猫、飼い主のいない猫を対象にする避妊去勢手術専門の動物病院を運営している。多くの猫に治療を施すため、費用は通常、同等の治療や手術を受けた場合に比べ安く抑えられるという。

ペットとの新しい出会いのカタチ。目指すは全国展開

「全国に広げていきたい」と語る山本さん。

「活動を全国に広げていきたい」と語る山本さん。

「譲渡に成功しても、その後、飼い主が高齢で亡くなって、再び、猫が行き場を失うこともあります。私たちが目指すのは、行き場を失った猫たちに新しい家族を見つけること。人に可愛がってもらい、人の生活にも潤いをもたらせればいいですし、そのお手伝いが出来ればと思います。大切なのは活動を継続できるシステム。私たちのような団体から『伴侶動物をもらう』という選択が動物と暮らす際のスタンダードになればいいですし、この活動を全国に広げていきたいと思っています」と山本さんは言う。

先に挙げた譲渡金の他、開放型シェルターの見学は猫カフェということで、“入場料”として寄付を求める。また、訪れる人にはホームページではエサや猫砂など、足りないものを募集して施設で使えるものは使い、使わないものはバザーなどで販売するなど、様々なアイデアで収益につなげている。収益をきちんとあげる仕組みが、持続可能な運営を支える秘訣と言えそうだ。

2012年度、国内では約12万頭の猫が殺処分されている。動物愛護の意識が高く「ペット先進国」と言われるドイツでは1990年、「動物は物ではない」と明記した動物保護法を制定し、殺処分ゼロを目指している。

NPOで引き取られるのは子猫が多いが、大きくなった猫や、事故で片方の足を失った猫、全盲の猫ももらわれていくそうだ。シェルターが新たな飼い主の出会いの場となり、ペットを選ぶひとつの方法として浸透しつつある。不幸な動物を減らす有効打となるのか、今後の取り組みが注目される。東京キャットガーディアン(ライター 橋本滋)

スカボロー

ブルービズネット運営者

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